【自家焙煎とは】
■ コーヒー豆とは
コーヒー豆は植物(木本)の種子を使った農産物で、お茶や綿花と同じように農園で生産されています。主な生産地は、中南米やカリブ海、アジアやアフリカ、ハワイなどで、南回帰線から赤道をはさんで北回帰線までの生産地をコーヒーベルト地帯と呼んでいます。
国内では、沖縄と小笠原のごく一部だけで生産されています。
■ 生豆の仕入れと保管
焙煎する前の緑色をしたコーヒー豆は、生豆(なままめ)と呼んでいて、生豆は70㎏程度の大きな麻袋に入れられています。定温設備のあるリーファーコンテナを使って、コンテナ船で輸入されます。
自家焙煎の小さな店舗は専門商社を通じて生豆を仕入れて、仕入れた生豆は、焙煎するまでは店舗内で保管しています。生豆は、温度や湿度、直射日光などに影響されやすいので、その保管には十分気を付けています。
■ 焙煎作業
コーヒーの生豆はそのままだとコーヒーの香りがしません。焙煎されて初めて、コーヒー色をしたコーヒー豆となります。
焙煎とは、生豆に熱を与えて、豆に含まれる様々な成分を変化させる作業です。フライパンで胡麻を煎ることと同じ原理です。
自家焙煎のお店は、通常、専用の焙煎器を使ってコーヒー豆を焙煎します。
毎日の焙煎が一番重要で、また一番難しいです。気温や湿度、豆の種類や量などによって、焙煎は少しずつ変わっていきます。
また、フルシティやフレンチなど、焙煎のレベルによっても変わります。フランス料理のシェフがお客様のご要望に沿って、牛フィレステーキの焼き方を少しずつ変えているのと、よく似ています。
■ ハンドピック
輸入商社から仕入れたコーヒー豆には、欠点豆が必ず含まれています。
欠点豆とは、貝殻豆・虫食い豆・未成熟の豆・割れ豆まど、正常な成長ができなかった豆のことで、欠点豆を取り除かないまま抽出してしまうと、美味しいコーヒーの味わいを損ねてしまうので、必ず事前に取り除きます。
この作業をハンドピックと言います。すべて手作業になるので、どうしても時間がかかります。ハンドピックは、美味しいコーヒーをお客様に味わって頂くために重要な作業です。
■ 販売
当店でコーヒー豆の賞味期限は、焙煎日から1ヶ月でご案内しております。古くなると美味しさや香りが少しずつ失われていくので、なるべく販売可能な量だけを焙煎しています。
現在焙煎している豆は、4種類のブレンドと9種類のストレートです。その他にデカフェもあります。
■ 焙煎のレベルとは?
コーヒー豆に期待される味わいは、酸味・苦味・甘み・コク・香りです。心地よい後味も求められます。
酸味は浅い焙煎のときに感じることができます。焙煎時間が短いうちは、酸味が強いです。古くなって酸化したときの不愉快な酸味とは違います。
焙煎時間が長くなると、酸味が次第に薄れて、その代わりに苦味が出てきます。苦味と同時に甘みとコクも出てきます。苦いだけの豆では、コーヒーの美味しさを味わうことはできません。
香りには2種類あります。浅煎りのときに感じるコーヒー豆本来の香りと、この味わいは豆の種類によって変わりますが、焙煎時間によってもかなり変わります。
コーヒー業界では、焙煎時間と豆の変化に合わせて下記のような8段階の焙煎レベルを作っています。
《ライトロースト》 浅煎り
⇨一番浅い焙煎。小麦色。
通常、カフェや店舗では使わない。
《シナモンロースト》 浅煎り
⇨シナモンというスパイスに似た色。
豆の渋みが酸味に変化し始めるレベル。
《ミディアムロースト》 中煎り
⇨紅茶のような香り。酸味は強い。
《ハイロースト》 中煎り
⇨まだまだ酸味に支配されているレベル。
《シティロースト》 中煎り
⇨コクと酸味とかすかな苦みが同居する。
《フルシティロースト》 中深煎り
⇨酸味と苦みのバランスが良く、
甘みとコクもほどよく飲みやすい。
《フレンチロースト》 深煎り
⇨苦みと同時に絶妙な甘みを感じる。
《イタリアンロースト》 深煎り
⇨アレンジコーヒーのベースや
アイスコーヒーに向いた強い苦み。
このうち、当店で焙煎&販売しているのは、ハイロースト、シティロースト、フルシティロースト、フレンチロースト、イタリアンローストの5種類です。